歯根膜炎とは
どんな病気か
虫歯が進行し、歯髄炎の原因となっている細菌が歯の根元を覆っている歯根膜や歯の骨の一部にまで感染し、炎症を引き起こす病気です。また、打棒や転倒などの外的要因で歯に強い力が加わったことが原因で歯根膜炎がおこることもあります。
病状
急性の場合は、虫歯になった歯の根元の歯肉(歯茎)が赤く腫れて圧迫すると痛くなり、歯が浮いた感じがするといわれています。また、食べ物を噛んだり、歯を叩いたりすると強く痛みを感じるなどの症状があります。痛みは自体は歯髄炎に比べて一般的にやや軽いのですが、持続的で一日のうちで痛み方にあまり変化はありません。
さらに症状が進むと、アゴの下のリンパ節(顎下リンパ節)が腫れて、押すと痛み、頭痛や発熱を伴うこともあります。慢性になってくると自覚症状があまりなくなり、歯が浮く感じや、咬むと痛む程度ですが、さらに放置しておくと歯根先端の骨が破壊されたり、肉芽腫が出来たり、歯茎が膿んで骨に孔があき、そこから膿がジクジクと出たりします。また、歯根膜炎があるためにリウマチ熱、心臓弁膜症、急性腎炎、化膿性関節炎などの病気を引き起こしてしまうこともあり、これを総称して病巣感染と呼んでいます。
検査と診断
診察の際に患部の歯を叩いたり(打診)、歯茎の腫れなどからも診断することもできますが、レントゲン撮影し歯とその周辺組織を確認することで、より確実に診断することができます。
治療
病巣が小さい場合は、歯の根の部分の細菌をよく消毒し、細菌が完全に無くなってから歯髄を抜きます。歯髄を抜いたあと患部に薬剤を詰めて塞ぐ根管充填を行います。そのあと、金属やセラミックなどで患部をインレー(詰め物)やクラウン(被せ物)などの終末処置をおこないます。患部の状態にもよりますが、治療が完全に終了するまでは少なくても5~6回の通院が必要となります。
歯科医院への来院前に激痛があって、根管充填が行えない場合は、冷湿布や抗生物質の内服で炎症を抑えます。そのあと症状が落ち着き治療可能であれば根管治療と終末処置を行います。この終末処置が不可能な場合は、歯を抜き、そのあとに入れ歯やインプラントなどの機能回復の治療を行います。